Lambency
花の様?
小ぶりのひまわりを数本花瓶にさせば一気に診療所に夏の香りが広がっるようだった。もはや非常に発展したこの世界で本当の意味で季節の花があるのかは定かではない。けれどもにとってその季節らしいものを飾るという行為に大きな意味を感じた。今の彼女の表情に効果音を着けるならば『ドヤッ』というところだろうか。
「軍曹ご機嫌だな」
背後から掛けられた声に、っは!とは勢いよく振り向いた。慌てて敬礼した視線の先、そこには穏やかな表情に温かく見守るような優しい瞳のミュラーが立っていた。
「え、あ、はい、まあ……。その、凄く恥ずかしいところを見られた気が致します」
若干頬を染めながら、居心地悪そうにそれとなく視線を外すにミュラーは僅かに目を細めて意地悪く笑った。
「なに、至極満足気な表情を浮かべていただけではないか」
「ミュラー提督、簡単に『だけ』と仰いますが、個人的にはそこが一番辛いポイントでして……」
「別に誰にも言わないから気にしなくていい」
「是非、お願いいたします……」
未だに堅いままのを他所にミュラーはひまわりを一本手に取り眺め、ふっと息を吐いた。
「卿はなにやらひまわりに少し似ているな」
「はい?」
「特にこのひまわりだな。豪快に咲いてる」
豪快にって……、内心独語してから刹那、柄にも無く花に似ていると言われて絶句し頬がより熱くなるのを感じた。空調の行き届いたこの建物内で夏を言い訳には出来そうになく、焦るしかない。
2011/09/10