私的まほろば

閑話

お膳をはさんで、二人で午後の緑茶を飲んでいるときだった。アキラ君が、ふと気がついたようにぽろっと零した。

さんって、手、綺麗ですね」
「えっあ、ゴメン。それは昨日食器洗いを頼んだ事にたいする静かな反撃だったりして……」

昨日――、夕食後私の滅多に鳴らない携帯電話が鳴った。珍しいなあと思いながら出てみれば、珍しく夏希からで、気がついたら長電話をしてしまった。その間に「あ、ならボク食器片付けておくね」「うん、お願い――」的な会話を深く考えずに頼んでしまっていたらしく(曖昧な記憶しか残っていない)、彼はしっかり洗っておいてくれた。お手伝いに来て置きながらなんて無責任なことを……、と電話終了後深く後悔したのは忘れていないのでズキリと胸が痛む。

「ち、違うよ!そうじゃなくてさ、その本当に綺麗だなって思ってさ!」
「うう、水仕事してない手でごめんなさい。で、でも、ちゃんとお掃除の時とか雑巾がけしてるよ……?」

急に大人しくなっていった私に慌てたのか、アキラ君も慌てて必死にフォローを入れてくれる。ありがとう、その可愛い顔に心が癒されてるよ、と不謹慎なことは口に出さないで反省の気持ちだけにしておく。

「そんな!わざわざ雑巾がけまでやんなくていいのに」
「……気にしないで。どちらかといえば雑巾がけは趣味に近いんだ」



「ご趣味は?」
「雑巾がけを、少々……えへ」


(ツッコミが不在……!)(【急募】ツッコミを丁寧に入れてくれる人)

2012/09/22
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