私的まほろば

佳主馬

地面からはじわじわと這い上がるような熱気、空からは全てを焼き尽くそうとするかのような日差し。それらからふわっと遮る木陰。どこまでも響き木霊しているかのようなセミの鳴き声。眩しい空にゆがむ地面。見事な夏の日。

日傘を差すことでいくらかは緩和されているが暑い事には変わりない。左手に日傘、右手にはハンドタオルはもうお約束である。

「姉ちゃん、大丈夫?」

ペースをあわせて隣を歩く佳主馬が呆れたように声をかけた。はそれに苦笑いで答えるしかない。大丈夫とは断言できない。
昨日まで大学の試験とレポートに追われ睡眠不足の日々を過ごし、その日の内に長野まで帰ってきた。ハードな日程をこなしてきた身とすれば、気が緩んだ今日が一番辛い日である。既に荷物を佳主馬に持ってもらっているだけに、これ以上甘えることは出来ないとは年上の意地を張っているがそれすらも見透かされている気がしてならない。

「……疲れてるなら素直に言って、買出しなんて頼まれなきゃ良かったのに」

最もな意見にぐうの音も出ない。言葉に詰まっているに佳主馬がチラりと視線をよこした。

「倒れないでよね、姉ちゃん、まだ俺よりでかいんだから」


  2011/09/08