私的まほろば

理一


「うーみ!うーみ!うーみ!うーみ!うーみ!」

ちびーズの海コールに大人たちは困っていた。しかしそれも致し方ない。さっきまで散々川で遊んできた奴らが浮き輪を片手に大声で訴えているのである。体力の限り遊ぶチビーズのアクティブさは凄まじい。誰もが子供の頃通って来た道とはいえ、大人になればこうも変るとは子供の頃から分かっていた人などいないだろう。眠い頭を僅かばかり起こし、あくびをかみ殺してからがちびーズと向き合った。

「ねえ、海ってね、広いし大きいし月は昇るし、日が沈むんだよ」
「すごーい!」
「それにねえ、大きい波や青い波もくるし、揺れてどこまで続いてんのか分からないんだよ」
「すっげー!」
「船に乗って海外行ってみたいなあ……」
「おれもー!」

間髪置かずに、余計行きたくなってるじゃないの馬鹿!、最後のはお前の希望だろ、テキトー過ぎる、その他諸々色んなところから飛んでくる苦情にはまたあくびをした。

「寝言か冗談か本気か分かるように言えよな」

凭れかかった理一にデコピンされ、少し目を覚ました。

(本気だったらどうなるの?)(……さてね、)

2011/09/08