たんじょーび!
「ねえ、水谷の誕生日って1月4日って本当?」
「へっ、うん、そーだけど」
昼休み寒そうに厚手のパーカーのチャックを上までしっかりしめ、フードまで被り机に突っ伏していた水谷の前の席についてすぐ、は脈絡もなく問いかけた。
(なんかマトリョーシカみたい)
思いもかけない突然の質問に起き上がり水谷はゆるく首をかしげた。
慌ててずれ落ちてしまいそうになったフードを深く被り直す、そんな仕草をはやっぱり可愛いなあと思いながら、ねえ、と切り出した。
「私も同じ日なんだ、誕生日」
「へー、偶然(どうして誕生日しってんだろ)」
へにゃっと弛んだ笑いを浮かべて喜んでいる水谷には続ける。
「でもさ、うちらの誕生日って冬休みだし正月明けすぐで忘れられがちじゃない?」
「そーそー、皆あけおめメールはくれても誕生日おめでとーはくれないのな!」
「でしょ?だからさ、一つ提案があるの」
「ん、なになに?」
がちょいちょいと近づくように手招きをすれば、水谷もそっと近づく。
(ちょっと、俺、今どきどきしてる)
そして僅かに声のトーンは下げられた。
「冬休みじゃ会えないしさ、クリスマスに、誕生日には早いけどプレゼント交換しない?」
「へ?」
きょとんとした水谷にはにっと笑いかけた。
普段から何かと意識しているに笑顔を向けられたら返さずには居られない水谷は、普段の癖で再びへにゃっと微笑み返した。
それが結局のところ承諾になってしまい、話は水谷どうこう意見を言う間もなく決められてしまった。
ましてや、の楽しそうな表情を見て、止められるような水谷でも無かった。
(クリスマスにって恋人みたいじゃん!)
「で、水谷はどんなものが欲しい?……って聞くと、面白みがなくなっちゃうなー」
「えー待ってよ、今俺、桜庭に聞こうと思ってたところなのに聞けないじゃん」
「ヒント的な何かを探れる質問考えるから待ってて」
んじゃ俺もー、と言いつつ空を見上げてすぐ水谷は思いついて、軽く机を叩いた。
「先に俺から質問!桜庭ってなにが好き?可愛いものでも、こう、犬が好きとか猫が好きとか具体的にさ(小物に小鳥系が多かった気がする)」
「水谷」
「はい」
「水谷」
「……ん、俺がどうかした?」
大きな目をパチクリさせ水谷は曖昧な笑みを浮かべた。
そんな彼にはニッコリと優雅に笑い、恥ずかしげも無く言い切った。
「私が好きなのは水谷」
「欲しいものは、彼氏の水谷かな」
首から耳まで一気に真っ赤になった水谷に「だめかな?」と自信満々な笑顔で答えを待った。
(駄目じゃない、けどこれは無しだ!)(誕生日は、一緒に祝おっか?)
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2013/01/04
水谷ハピバ!