05

ビッテンフェルトは散々笑った挙句、
「また来る」というにとって迷惑極まりない台詞を言って去ろうとした。
素を知られてしまったからにはやられっぱなしは性に合わないは、
「診療所に足しげく通われるのも如何なものでしょうか」
と、済ました顔で言えば、
「安心しろ、皆に面白い奴がいるとよく伝えておくぞ」
と言い残して、噛合わない会話は終わった。
は見るからに健康そのものの提督が、当分来る『理由』が出来ないことを祈った。
(近々診断があるけど、それくらいなら、ね……)
5日後から診療所本来のあるべき姿として機能することが正式に決まった。
今現在と、自身が行う仕事に大差は無いのだが、ここで行う事の出来る治療の幅が広くなるのだ。
ある程度の怪我までなら、軍の大きな病院まで行かなくて済むようになる。
最も、誰も元帥府でそんな大怪我がしょっちゅう出るとは思っていないが。
(でも、覚悟はしなければ)

診療所の開始と同時に、軍人皆平等に課せられている健康診断、及び身体検査が始まる。
定められた期間中ならいつでも手の空いた時に来ればよいシステムになっている。
その準備のため、は書類や画面のデータと睨めっこの日々が続いていた。
もうすぐ始まる検査が滞りなく進められるようにするためには欠かせない仕事である。
そうとは分っていたものの、診療所の準備で後回しにしがちだった付が結構な量となって、襲い掛かってきていた。
また、皆が忙しくなる前に衛生兵は先に検診をやってしまうのも兼ねながら、本番の手順確認を行っていった。

ユニオン時代の身体には劣るものの、丈夫で身体能力も高めな健康体のの結果はどれも当然優良である。
そんな診療所オープン前日に運もタイミングも悪くは胃の検査が回ってきて、バリウムを飲んだ。
御かげでなんとも言えない気分で少し終りが見えてきた仕事を片付けていた午後であった。
(せめてバリウム飲むのは終業直前が良かった……)
と同期のテオがいかにも愉快そうな笑顔を浮かべながらを呼びに来た。

「ビッテンフェルト提督が、直々にお前さんをご指名だそうだ」

普段ならば、ちょっとした怪我など全く気にも留めないであろう人物が再び現れたことには肩を落とした。
(どんな『理由』で来たのよ、健康優良児が……!)
保健室

09/07/20
<< >>