08
今日から2週間の予定で検診の期間が始まる。
それに合わせて晴れても衛生兵女性仕様の白い制服デビューである。
意見は大いに問いこまれており、機能性、デザイン性共になかなかの出来である。
自身も基調が『白』ということ以外は大満足であった。
(絶対に汚せない……、気を引き締めなければ……)
彼女の仕事は検査結果の整理、処理、誰が何の検査をいつ受けたのか等のひたすら事務仕事になった。
理由は「男性ばかりの中で一人女性がうろちょろしていたら気が散ってしまう」とのことだ。
一体、「誰」の気が散るのか、それがこの軍隊での女性への認識である。
私に甘いのではなく、『野郎共』に過保護なんだよね……、
とは自分用のマグカップに注がれた紅茶を飲みながら独語する。
目の前にある画面には、順調に人々の検査終了の文字が浮かび始める。
Ring Ring ――
内線を告げる呼び鈴が鳴る。
TV電話が主流の時代には珍しく、診療所内の各所には電話が設置されている。
治療中、要点だけを伝える分には映る必要性(個人の尊重のためにも)は無いので、いまだに重宝されている。
「はい、医務室のです。――ああ、テオどうしたの」
適当に相槌を打ちながら用件を伺う。
ハンズフリーに切り替え、頼まれた情報を確認するため、パソコンに打ち込み検索をする。
ヒットした一覧にざっと目を通し、これだと思うものをクリックした。
「あったあった。――え、無い?んー……、おし、今データそっちに送ったから確認して」
<<了解>>
Ding ――
続いて来訪を知らせるベルが鳴る。
奥まったところにいたは席から立ち上がり、来訪者を探す。
すぐに見つかった背の高い赤毛の彼と視線がかち合った。
声をかけるが、一旦中断の許可を柔らかい視線でもらってから用件をすばやく済ます。
「いかがされま <<確認した。助かった!>> ――失礼、『どう致しまして』」
プッと受話が切られる音がする。
「失礼しました。どうされましたか。」
小走りで彼元帥府に勤める女性たちからの人気が断トツ1位のキルヒアイス提督の方へ向かう。
「申し訳ありません。お取り込み中に」
「いえ、ちょうど済んだところです。お気になさらないで下さい」
「ありがとうございます」とキルヒアイスは言葉だけでなく、感謝の意味を込めて微笑む。
なんと丁寧な人なんだろう、それがの持つ、彼の第一印象である。
(確かに、これじゃあ人気もでる)