11
「お2人とも、問題は無さそうです。診断結果を楽しみにしてて下さいね」
握力、血圧、身長、体重などさほど場所をとらないものは終わり、残すは採血のみである。
女性では標準的な身長を持つであっても、背の高いラインハルトは勿論の事、
特にキルヒアイスの背を測るときには困ってしまった。
が椅子を持ち出し、その上に立とうとすればレディーファーストの精神が色濃く残っている帝国らしく
上官2人はすぐ様止めにかかり、代わりに行うと言って元帥までもが自ら手伝った。
「閣下、頭の頂点にしっかりとお願いします。
『盛って』あげるのは無しで、測ってくださいませ」
「当然だ。これ以上コイツが大きくなってどうする。
よし、少し縮めてやるぞキルヒアイス」
「「だめです」」
思わず制止の声がそろってしまったキルヒアイスとは互いに相手の顔を驚いたように見合えば、
自然と視線はかち合い、笑みがこぼれる。
そんな2人にラインハルトはやや不満そうに言った。
それはどこか拗ねた少年の様な声であり、またキルヒアイスとの笑いを誘うこととなった。
「2人して、声をそろえて言うことは無いではないか」
そんな和やかな雰囲気の中、採血が行われていた。
ラインハルトの採血は終わり、キルヒアイスの腕に針を刺した後のことである。
ぐぅー…… ――
この場には3人しか人は居らず、一体誰の腹の音であるかは明白であった。
張本人のは――内心すごく動揺し、今すぐにでも赤面しそうであったが――極めて真面目に、
採血中の注射から目を離すことなく口を開いた。
「今のは、女性としてはどうかと思うべきことですが、
人間としては生理現象であり恥ずべきことではないと、小官は思っております」
程よく血が溜まったのを確認してから、そっと針をキルヒアイスの腕から抜き、すばやく止血用の脱脂綿で押さえる。
ついと、視線を上げ、二人の上官には微笑む。
「なので、お二方は何も聞かなかった方向でお願いいたします。
……ちょっとここまだ押さえておいて下さい」
「あ……はい」
キルヒアイスは脱脂綿を引き継ぎ、それからラインハルトと目で会話する。
突然のお願いに一瞬驚くも、願いを聞き入れられたことは、雰囲気が語っていた。
四角い絆創膏を貼り、確認の書類にサインが書かれたことで、昼の時間に出来る検診は終わった。
(美の女神って男が女装してたのかも…)
検診
+09/07/24
ヒロインは自称・永遠の18歳です(笑)
<<
■
>>