私的まほろば

回り始めた歯車

万作おじさん家の息子さんたち兄弟も、まあ結局私からすればおじさんなのだが、そのおじさんたちも今日の夕食にはそろった。夏希の両親や佳主馬のお父さんは来れなかったらしい。それでも十分すぎるほど今日も賑やかな夕食になっていた。この場で栄おばあちゃんの大活躍を知らない人はいなかった。OZも平常に戻ったらしく、世の中は再び滞りなく動き出していた。頼彦、邦彦、克彦おじさんたちが大好きなおばあちゃんを気遣いながら、活躍を褒めちぎっている。



、お前も今日は頑張ったんだってな」

横から話しかけてきた理一おじさんの瞳は楽しげ(いや、不敵というべきか)に光っている。

「失敬な!今日『は』ってなんですか、今日『は』って。毎日頑張ってるけど、今日は特に、の間違えー」
「これは失礼しました、お嬢様、いや、お姫様かな」
「では、姫で」

机の斜め向こうに座った健二くんが麦茶を飲んでいたのか噴出しかけ、顔を赤くしながら咽ていた。隣に座ったお父さんが(何故、父さんが隣なんだ?)背中をさすってあげている。

「どうしたの?」
姉ちゃんが真顔で答えるからだよ」

ノートパソコンをカチャカチャいじったままの佳主馬がクールに答えてくれた。なんだ、そんなことか。

「姉ちゃんの馬鹿に慣れてないんだよ」

佳主馬は相変わらず私をばっさり切り捨てつつも、どうやら健二くんをちょっとは気遣っているらしい。いつの間に仲良くなったのかは知らないが、微笑ましくも寂しい。私も入れて欲しかった、と少し思ったが男同士の友情を邪魔するのも気が引けるから今回はちょっかいを出すのを諦めるとしよう。そんな時、栄おばあちゃんが健二くんの活躍を紹介した。

「あんたも今日、頑張ってくれたんだってね」

照れつつ、謙遜する健二に代わって夏希が報告してくれた。

「OZのトラブル直しちゃったのよ!」

一気に歓声と笑い声が広がる。なるほど、私がおばあちゃんのお手伝いに徹していた一方で、同じ屋根の下ではそんなことがあったのか。世界とは存外狭いもんだなあと、思えてしまうのは単なる錯覚なのだろうか。コップに入った残りの麦茶を一気に飲み干した。
気がつけば回りが静かになっていたのは、皆がテレビに集中しているからだった。OZ関連の情報がお茶の間に流さて、ことの大きさが染み渡っていく姿が見えた気がした。

「でもまだ、終わっていません」

神妙に健二君が紡いだ言葉を、佳主馬が次いだ。

(2010/05/06)