私的まほろば

光が見えた

「――あの、僕も万助おじさんに賛成です」

遠慮がちな健二君が、やっぱり遠慮がちに意思表示をした。けれどしっかり自分の考えと意見を丁寧に説明したのに、直美おばさんに一蹴されてしまいなんだか可哀想だった。



直美と理香がブツブツと男性陣への文句を言いながら片づけ、話に加わらない方が一番と、奈々とは黙々と視線で苦笑をかわしながら食器洗いに勤しんだ。それもひと段落ついたあたりで万理子おばさんからの仕事が与えられ、各々自分のやるべきことへ意識を向ける。は仕事を与えられず、無言の戦力外通告を大人しく受け取った。大人しく受け取ったからと言って、大人しく過ごすのかといえばそうでないのがである。すかさず男性陣のたまり場になっている筈のリビングへ足を運んび、理一の背もたれに手を置きしっかり陣取り、重く静かなリビングにびしりとが言い放った。

「私、健二君の意見、というかおじいちゃんの考え、正しいと思う」
さん、ありがとうございます。でもやっぱり出すぎたことを言いました……」

健二が弱弱しい笑みをに向けた。がそうじゃなくて、と反論しようとしたとき違う声によって遮られた。

「いや、君の意見は正しい。人を守れてこそ、己を守れる」

な?と理一がにやりと笑いながらに問いかけた。にっと笑い返したが自信満々に頷く。

「その通り!」
「それ、自衛隊のモットー?」
「いや、『七人の侍』のセリフ」
「それをさらっと言えるおじさんは八人目の侍だね」
、お前ちったあ黙ってろ。……そりゃ、母ちゃんの口癖、いや親父だったかな」
「ははは、さすが武士の末裔」

ははーい、と間延びした返事をしてから口をきゅっと結ぶ。理一が苦笑しながら後ろに手を伸ばし背もたれにあるの右手を慰めるように軽く叩いた。

「そんなことより太助おじさん、店にこれよりハイスペックなパソコンある?」

自分のノートパソコンに目を向けたまま佳主馬が唐突にたずねた。佳主馬の目は真剣で、おねだりかい?と聞き返した太助の声が馬鹿馬鹿しく聞こえる。静かに立ち上がった佳主馬がには何故だか眩しく見えた。

「ヤツとどう戦うかって話」

(やっぱり佳主馬はキングカズマなんだ)

(2010/05/15)