私的まほろば
もはや理解出来る域ではない
目が回りそうだ。世界中の人々が、このカジノステージを見て、夏希にアカウントを託していく。膨大な量のコメントが宛てられ、その言葉一つ一つに温かい思いを感じる。
『アカウントをナツキに預けます。
わたしたちの大切な家族を、
どうか守ってください』
はただただ、今目の前で起きている事の凄さに鳥肌が立った。
カウンターは止まることを知らないかのように回り続けている。
ポーン
突然、ジョンとヨーコが光の潮を吹いた。二つの光は絡み合いNATSUKIを包み込む。まさかの変身シーンに、私も皆も呆然と画面を見つめるしかない。衣装を変え、メイクアップしたNATSUKIは神々しく、無敵に見えた。
「ちょっと、どうなっての?!」
「…OZの守り主、ジョンとヨーコが夏希に吉祥のレアアイテムを授けたんだよ…!」
「まさに吉祥天女!」
「よ、よくわからんが……」
『幸運値MAX!運営側も夏希先輩にOZの未来を託したってことだ!!』
思わず皆で、ありがたやー、と手を合わせてジョンとヨーコを拝んでしまった。とりあえず、掛け金も幸運も授かった今、流れは完全に我々側にある。涙は溢れたり引っ込んだりと忙しないが、今は驚きで止まっている。もはや、泣いている暇も無いというか。何が面白いのか自分でも分からないけれど、穏やかな気持ちのうえに、笑いが込みあげるのを感じた。
『ゲーム再開よ!』
NATSUKIが宣言し、ラブマシーンは勝負を決めるためにレートをあげた。ゲーム再開のアナウンスが響き、ラブマシーンが親として始まった。和室は再び一気に盛り上がる。いけー!だとか、世界中がお前の味方だ!とか、こいこい!とか、こいこいに決まったんだろ!とか好き勝手に言い放題。
「こい!」
皆が叫ぶほど、夏希の勝ちは波に乗っていく。
「こい!」
<Koi!>
『『『『こい!』』』』
一瞬、世界中が叫んだような気がした。後ろを振り向いて確認してみたが、当然、大きな庭と池に浮かぶ漁船、その後ろには山々しかない。気がしただけだが、それが嘘には思えなくて、ただでさえドキドキしている胸がより高鳴る。みんなの端の方で、拳を握り画面を見つめる佳主馬が見えた。アカウントの無い佳主馬だって、一緒に応援して、一緒にドキドキしているのだ。
「いっけえぇぇぇえ、夏希ぃ!」
「ぶちかませー!」
「やっちまえー!」
(家族は皆で1つ…!)
(2010/09/01)